月刊僕たちの好きな高勢実乗(たかせみのる)

昭和ロマン探求家の穂積昭雪の至極個人的なブログ。

【感想】『君の名は。』という21世紀という時代でしか生まれなかった問題作

かなり遅ればせながら『君の名は。』(監督:新海誠)および『この世界の片隅に』(監督:片渕須直)の2作を鑑賞してきました。

ジブリもディズニーアニメも碌に見ない筆者ですが、昨年はゴジラ好きとして『シン・ゴジラ』(監督:庵野秀明)をTwitterでベタ褒めしてしまった手前、この二作だけは「どうしても見なくてはいけない」とモーレツに感じ、続けざまに鑑賞しにいったのだ。

なお筆者はゴリゴリのアニメオタクではないので「作画力」「演技力」については触れません。

また多少のネタバレも含んでおりますので未見の方は要注意です。

 

 

f:id:aomogura:20170125020319j:plain

 

「あらすじ」をざっくり言いますと、

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉と東京のど真ん中に暮らす男子高校生・瀧はある日、突然人格が断続的に入れ替わってしまう。

三葉と瀧は面識もなくまったくの赤の他人なのだが、お互いがお互いの生活に干渉していくうちに友情に近い感情が生まれていく。しかしある日突然、ふたりの入れ替わり現象が終わる。。。原因は三葉の住む田舎町のとある「宿命」が関係しているというが・・・

 

前半はだいたいこんな感じ。詳しくは映画『君の名は。』公式サイトを読もう!

 

観た人ならわかると思うのですが、話がめちゃくちゃ複雑。

 

さまざまなニュースメディアが報じている通り、

本作のリピーター率が異様が高い要因はこの複雑さ加減がいい具合だったからだと思います。

biz-journal.jp

これは『シン・ゴジラ』も同様だったのですが一回観ただけでは把握できないほどの情報量が約2時間の間に散りばめられていたということです。

 

しかし、考えてみてください。

そんなに複雑な設定する必要ある?

 

 

個人的に『君の名は。』を最低限抑えるべきテーマは以下の3点に要約されるはず

 

・「男女入れ替わり」という古典的なテーマ

・入れ替わりの原因は古くから街を悩ませている災害(彗星落下)に起因している

・巫女の三葉は深層心理的に瀧が送る生活に憧れており結果的に瀧と入れ替わった

 

f:id:aomogura:20170125035430j:plain

映画のなかでも印象的な「口かみ酒」のワンシーン

 

君の名は。』は巫女が出てきたり、神道的な要素が出てきたりと実は日本独自のファンタジーの要素が多い作品でもあります。

「男女入れ替わり」大林宣彦監督の『転校生』をはじめとしていくつかの映画・アニメでテーマになる古典的な要素です。

 

転校生 [DVD]

転校生 [DVD]

 

 (小林聡美、デ○やな・・・)

 

何が言いたいかというと

 

「入れ替わりの特殊能力によって村を救う巫女の物話」

 

であるならば別に現代を舞台にしなくても物語は成立する

 

 

 

ところが何を思ったのか、上記の古典的要素をド真面目にそして、

緻密すぎる計算で21世紀に置き換えたのが『君の名は。』なんだと思います。

 

これは他のレビュー者も突っ込んでいる部分ではあるのですが、

日本全国で繋がるスマートフォンをはじめ、地図アプリ、岐阜から東京へ日帰りできる交通機関などの存在が作劇上ですっごく邪魔なんじゃないかと

 

f:id:aomogura:20170125033356j:plain

f:id:aomogura:20170125033550j:plain

今や日本全国どこでも使えるスマホ文化

 

 

携帯電話や新幹線は確かに便利ではあるのですが、

「それ携帯電話使えば一発で解決じゃない?」

などの不都合が出てくるいわば「映画の大敵」だったりします。

 

君の名は。』も本来はすごくシンプルな話だったのが、

21世紀の便利ツールによって整合性をとるため

無茶苦茶に複雑化しなくてはいけない作品作りを強いられてしまったのだと思います。

 

では『君の名は。』は複雑なだけの退屈な作品なのかというと、答えは

 

否!!

 

 

新海誠監督は21世紀の現代で

君の名は。』のストーリーにおいて一切の不都合を感じさせないように

あらゆる計算を敷き詰め、全く違和感がないようにこさえる事に成功。

新海監督の一流の計算式を解いていくのがこの映画の醍醐味と言っても過言ではないでしょう。

 

上記の説を証明するかのごとく、新海監督のインタビューを引用すると

 

新海「(中略)誰にでも刺激されてると泣いてしまう心のウィークポイントがあって、僕の映画を切ないと思ってもらえるのは、そういう部分を少し押すことができているのかもしれないですね。僕らはその技術が仕事なので、もう計算しかないです(笑)。もちろんそういう計算を始める前の段階として、ひたすら自分の内面を掘り下げる過程を経ていますが」

 

news.walkerplus.com

 

上記は登場人物の内面の話なのですが

監督自ら「もう計算しかないです(笑)」と断言しちゃう計算力はストーリーでも存分に発揮されているのです。

 

もっともアラを見るといくらでも出てくるらしいのですが

togetter.com

以上のことを踏まえると以下のような方程式が導かれます。

 

違和感をなくすために過剰なほどの計算を入れ込む→

情報が多くなる→リピーターが増える

 

君の名は。』は便利ツールが溢れた2016年という時代じゃなければ誕生し得なかった作品だと思います。

 

映画ファンのなかには

「円盤待ち」とか「金○ロードショー待ち」

という人も多いかと思いますが

時代性が重要な『君の名は。』については

とりあえず劇場で見ておいたほうが

良い一本だと思います!!!

 

www.kiminona.com